シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「え!!!? 運転…え!!!? 走行してるのに!!!?」

「由香ちゃんが凄い発見をしてくれて、今彼女に任せてる。世紀の大発見だ」


世紀の大発見…?


「……それが青い色に染まってなければね」


蒼生ちゃんが何か?


玲くんは強張った顔をして歩いてきて、あたしの腕の中に居るクオンに声をかけた。



「クオン、回復してきてるね?」

「ニャア!!!」


「音は…小さくなったね?」

「ニャアニャア!!!」


クオンは、あたしの腕からするりと抜け降りた。


だけど身体が重そうだ。

新しい身体が凄く重い上に、まだダメージから回復しきってはいないのだろう。


「よし。クオンの結界があれば、僕の力は…あの虚数の銃弾に必要以上に奪われずにすむだろう。芹霞、此処からは僕の出番だ」


「え?」


「君が時間を稼いでいてくれている間に、僕の気は整い、結界を強められた。0と1を増産出来る糸口も見つけられた。もう大丈夫。頑張ってくれてありがとう」


そう言うと、玲くんは微笑みながらあたしの頭を撫でた。


「怪我はない?」


優しい優しい玲くんの手。

いつもの通りにほっこりとした笑顔。


「………っ」


何だろう、涙がぽろぽろ出て来ちゃって。

返事が出来ない代わりに、クオンを抱きしめながら頷いた。


「怖い思いさせてごめん。これからは僕が居るからね」


何だろうね。

守られることになれるのが嫌だと思いながらも、玲くんが傍に居てくれて嬉しいと思う自分が居る。


結局はあたし1人で玲くんを守れず、玲くんに守られてしまったけれど、それでも喜んでいる自分も居て。


矛盾。

何処までも矛盾を抱えて、あたしはただ唇を噛みしめて泣いた。
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