シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



その時、トラックの助手席の窓から銃口が見えた。

やばい、下に居る由香ちゃんが狙われる!!!


「クオン、下だああああ!!!」


ゴオオオオ…。


銃口は引っ込み、窓が慌てて閉められた。



銃弾は全てクオンが溶かし、少し休憩を入れて上げる。


「よしよし、イイ子イイ子…」


ふさふさの喉元を撫でたら、ゴロゴロ甘えた声を出してくる。

珍しく甘えネコモードだ。


あたしはまた上から、この青い車の運転席を覗き込んだ。



「へ!!!? 何で由香ちゃんが居ないの!!!?」


運転席は蛻(もぬけ)の殻。


この車…何で走れてるの!!?


その時、声が響いた。



「師匠、こっちは何とかOKだよ!!!」



由香ちゃんは居るらしい。



「よし、だったら…トラックを奪い取る!! 後は手筈通りに!! 芹霞、クオン…っ、トラック奪ったら横付けするから、由香ちゃんと一緒に乗り込んでこいッッ!!!」


あれだけ苦しかった状況が好転している。

そう思った時、やけに焦げ付く匂いが気になった。


「おや…なんだろ、この白い煙…」


由香ちゃんが何かしているんだろうか。



否――


「師匠、オーバーヒート…してる!!!」



この車は、炎上を始めたらしい。


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