シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「へ、た、足すと…ええと14+17…「115だ」

「そ、そう? そうだよね、うん。師匠の計算だし。しかし何で力使っている上に、暗記で暗算できるんだよ、この人…。いやこっちの話で、その115が何?」

「それにプラス☆の6個を足してみて?」

「へ? 115に6を…「121になるよね」

「……ぐすっ。はい、その通りです。多分…」


「121。つまり11×11の魔方陣に入れろということだ。ちょっとマス目作って中に書いてみてくれる?」


「うん!!! これなら師匠に勝てる!!!」


カキカキカキカキ…。


勝てるって何だろう?


カキカキカキカキ…。


「出来た、はいッッ!!」


きゅんきゅんするかのじ
ょさんとらぶらぶしてま
すか☆きせいじじつはも
うつくりましたか☆あさ
はこしをいたわってね☆
ぜんぶもらったのならい
ろんなとこめでたろなと
にやにやしちゃいます☆
もうえっちなんだから☆
どーなつがすごくほしい
せらあおいちゃんより☆


「目がチカチカするね」

「うん。星の位置は関係ない。"っ"とか"ゅ"とかの小さい文字も規則性がないね」

だとすれば、"P.S."。

寝るとか起き上がるとか…何を意味してる?


寝る…横になる?

だったら起上がるのは…立上がる?



「あ!!!!」


その時、"横"から覗き込んでいた由香ちゃんが叫んだんだ。


「見つけた、文章あるの!!!」



………!!!


ああ、あったね。



僕の位置から見れば横ではなく、丁度…姿勢良く起きた、垂直の軸だけれど。



「ここだよね」



由香ちゃんは、魔方陣の左端の列を上から指でなぞった。




「『きょすうはぜろにもどせ』」



そう。


だとすれば。


11桁だろうと100桁だろうと、この条件を"虚数"に適用するのなら、各列各行そして斜めすらも、足して同じ数になるものは…、更にそんな状態の全てのマス目を掛け合わせた解は…、1つしかないんだ。



即ち――



「答えは…"0"だ」


「師匠、ビンゴ」


由香ちゃんの弾んだ声が聞こえた。


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