シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
正解を示すチャイム音が鳴り響けば、
「さすがは青い紙担当師匠!!」
由香ちゃんは興奮してはしゃいでいた。
僕、別に青い紙担当ではないんだけれどな…と苦笑しつつも、僅かに芽生えた疑念に僕は首を傾げた。
今、この車の電気制御は全て僕が行っている。
つまりこの車の電気は、全て僕の監視下にあり僕の支配の元。
それなのに、何で僕の力の範囲外で、電子の音がした?
「まさか…」
ありえないこともない。
僕が乗り込むことを予想した『非常用』。
この車には、別の電気系統が存在している…?
ぴんぽんぱんぽ~ん。
『非常度を確認します』
音と共に響いたのは…女性の声。
……。
うん、間違いなく…忌まわしきボンドカーで聞こえたあの声だ。
あの声が聞こえたせいで、僕は芹霞への大告白をする羽目になった。
「師匠、な、何、何が起きたの!!!?」
「多分、正解のボタンを押したせいで、次に進んだんだと思うよ」
『次の質問に、1か-1かで答えて下さい』
「なんだそれえええ!!!! というか音声認識なんて…なんだよその無駄なハイテク!!!!」
突っ込む担当は由香ちゃんに任せた。
僕は質問に答える役に徹する。
『今、新種の虚数が大きすぎて、本当に困っている』
そういう質問が出るということは、新たな虚数が僕を苛ませる事態になると、氷皇は見越していたということか。
「師匠、どうするの!!?」
「数字が大きい1をYES、-1をNOと見て、1ッッ」
恥ずかしい質問じゃなくてよかった!!
『今、新種の虚数を上回る力はいらない』
「-1ッッ!!!」
『今、新種の虚数に、化け猫は苦しんでいる』
「1ッッ!!!」
回復したてのクオンが力を出せないのは、虚数の奏でる音波を受けているからだろう。
「あのニャンコ…どの程度の化け具合を想定しているのか判らないけれど、やっぱり氷皇から見ても、化け猫なんだ…」
由香ちゃんがぼやいている。