シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
『今、結界は自分だけのもので用は足りている』
「-1ッッ!!!」
偶然だろうか。
この答えのパターンが、1、-1を交互にきているのは。
『チャート診断結果。タイプJ。寂しいっ子のあなたは、自分も相手にも常に多くを求めてしまうタイプ。しかしそれではよりよい関係を築けません』
……。
「なあ師匠…」
『あなたが幸せになる為には、相手に合わせること。そうすれば見返りを求めずとも、相手は必ず相応の愛を注いでくれるはずです。プラスマイナス0の関係は、幸せの時間を留めてくれます。頑張ってくださいね』
「いつから非常診断が、心理テストになったんだ?」
……。
「師匠、何真剣に考え込んでいるのさ!!! 此処で考えることではないだろう!!?」
「あ、ごめん…」
『そんな貴方におすすめのキーワードは、"カガミのクオン"』
「久遠は、各務久遠だっていうことボク達知ってるよ!!!」
『そんな貴方におすすめの物語はこれ』
「物語って何だよ!!! 師匠、何かまた紙が出てきた。わ、なんだこの平仮名ばかり」
『健闘を祈ります。以上、非常時における回避ヒントでした』
ぷつり。
アナウンスは途切れた。
「うがああああああああ!!!」
吼えた由香ちゃん。
「時間の無駄だった!!! 何だよ、何だよ、何だよッッッ!!!!」
「……。由香ちゃん、それを持ってきて」
僕は…無駄だとは思わなかった。
必然の氷皇が託したメッセージ。
僕はそれを読み取ろうと必死で。
"プラスマイナス0"
あの診断結果は、質問に答えた僕の答えを足したものと同じ。
それ故の1と-1の選択肢だったのでは?
魔方陣の問題は、まだ続いているのでは?
虚数を…0に戻せというのは、魔方陣を解くためのものではなく、根本的なものについてのヒントだったとしたら。
突破口は……。
僕は由香ちゃんと共に、その紙を見た。
読み進めて、僕の頬が引き攣った。