シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
『りすおうこくにいるりすおうじは、あたまがいいびりすでゆうめいです。
ゆうがなものごしときひんあるほほえみに、ほかのりすたちはうっとり。
しかしあるとき、りすさんのいとこがあらわれて、りすさんはいえからおいだされてしまいました。
しくしく、しくしく。
ないていたりすさんにこえをかけたのは、くろめがちのおおきなめをしたかわいいおんなのこ。
「りすさん、りすさんなかないで? おめめにめぐすりさしてあげるから」
「りすさん、りすさん、くるくるであそぼう?」
「りすさん、りすさん、ほっぺがかわいいね、さわっていい?」
まいにちあいにきてくれるおんなのこはとてもやさしく、りすさんはとてもすきになりました。
ずっとおんなのこといっしょにいたいとおもうようになり、あえるまいにちがしあわせでした』
「師匠…これ…」
「……。由香ちゃん、ここは何も言わず続きを読もう」
我慢。
何も考えるな。
『あるひ、おんなのこはなきながらいいました。
「りすさん、あたしはもうここにこれなくなっちゃったの。きょうでさいごなの」
りすさんは、おどろきとしょっくのあまり、ぶるぶるふるえてしまいした。
かなしくてかなしくて、なみだをぼろぼろながしてないてしまいました。
「おねがい。ぼくをすてないで。ぼくもつれていって」
おんなのこはこまってしまいました。
おんなのこがすむところに、りすさんをつれていくことができなかったからです。
「そうだ、りすさん。これあげる。これをあたしだとおもってかりかりしてね」
それはくるみでした。
「りすさんがたくさんくるみをかりかりしてくれてたら、またきっとあえる。これは、あいのまほうのくるみだよ?」
りすさんはりょうてにのせられたくるみをじっとみつめて、そしてわらいました。
「じゃあぼく、ずっとかりかりしてるね。これはぼくのあいのあかしだ。またきみにあえることをしんじて、ぼくずっとずっとかりかりしてるから」
おんなのことあえるのはこれでさいご。
だけどまたあえるとしんじて。
ずっとずっとてをふりながらきえるおんなのこを、りすさんはなきながらみおくっていました』
「やばい、なんかこのりすさんにウルウルしてきちゃった」
「……。続きを読もう」
僕もそうだとは絶対言うもんか。