シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



『ざざっとおとがして、りすさんがふりかえるとそこにはしろいふさふさねこがいました。

なんかいかおんなのこといっしょにあそんだことがありますが、ふさふさねこはきまぐれでくちがわるくて、りすさんはにがてでした。

ばかにされるのかとおもってさらにかなしくなったりすさんのもとに、ふさふさねこはのっそのっそとやってきます。

「うばえばよかったじゃないか、すきなのなら」

しかしりすさんのよそうにはんして、ふさふさねこはりすさんにやさしくこえをかけながら、となりでまるくなりました。

「きみがぼくのたちばなら、きみもできないだろう? すきだからこそ…」

かなしくわらうりすさん。

ふさふさねこのきもちにはきづいていたのです。

「ぼくはひかりぞくせい、きみはやみぞくせい。どんなことをしても、ぜろのせかいのあのこといっしょにいられないんだ。それにぼくは…あのこをきずつけたくないんだよ」

ふさふさねこは、またないてしまったりすさんのあたまを、しっぽでするするとなでました。

「ほうほうはあるじゃないか。まいなすとぷらす…おれたちがちからをあわせたら、ぜろになる。あいつとまたあえるまであきらめるな」

「………」

「おまえはひとりじゃない。いまからそんなにめそめそするなよ。おまえがつらいとき、ここでいっしょにくるくるであそんでやるから。だからずっとかりかりしてろよ」

「うん、うん!!! ありがとう」

めそめそするなといわれたのに、りすさんはないてしまいました。


「おまえ、まえに…おれにいやがらせばかりするくろひょうをたいじしてくれただろ? おれはうけたおんはわすれない。それに…おれはべつにおまえがきらいなわけではない。だからすこしだけなかよくしてやってもいい」

たいじしたのは、おんなのこが、みみをおさえてぐったりしていたふさふさねこがかわいそうだといったから。

がらすでつめとぎをしているくろひょうのおしりを、ちょっとかりかりしただけ。

それをふさふさねこはおぼえていたのでした。

なんでにがてだとおもっていたのか、りすさんはじぶんがはずかしくなりました。

ふさふさねこはいつでもこんなにあたたかかったのを、りすさんはきづかないでいたのでした。

ふさふさねこのこころがうれしくて、ふさふさねこがこまったときには、ちからになろうとおもいました。


だいすきなだいすきなおんなのこ。

そしてできたおともだち。


りすさんのこころはぽかぽかしています。

かなしいこころいじょうに、きぼうをもらったから。


りすさんのてにあるのは、あいのくるみ。

いっしょうけんめいかりかりしていたら、またおんなのことあえる。

おんなのことあえたのなら、そのときはずっといっしょにいたい。

そうおもいながら、あくびをくりかえすふさふさねこのとなりで、りすさんはきょうもかりかりするのです

【完】』
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