シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


何故に黒が残虐とされるのか。

何故に黒だけが弾かれるのか。



黒は悲哀故に虚無の色。

忌避されるが故に絶望の色。



黒の慟哭に耳をすませよ。

黒の怨恨に耳を傾けよ。



全ては黒で終焉するのではなく、

黒が全てを始めるのだ。



黒が動けば――

全ての奸計も無に戻る。



私の智慧が何処まで通用するか。



黒を恐れよ。

黒を称えよ。



我は――

汝ら"色つき"に警告す。



黒をあくまで、格下の色だと蔑め続ければ、


汝らの全ては――

黒に呑み込まれて滅ぶだろう。


それが例え、かの偉大なる"黄"でも。


羅侯(ラゴウ)星を見くびることなかれ。


羅侯を懐柔出来るのは、

有彩色ではなく――

貪欲なる無彩色の力なのだ。




***


№96 

白皇手記より一部抜粋



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