シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「諦めろ、ワンコ。あれはあれで、ワンコの分身みたいで可愛いじゃないか」

「おうそうだ、正義の味方の変身犬の変態だと思えば。がはははは!!!」



櫂…。


俺も青いの嫌なんだけれど、

その変態ワンコ柄も嫌だ。


判るだろ?

俺達…仲いい幼馴染だもんな?


嫌だ。


涙目で、"友情"に訴えた俺に、


「煌、すまん。耐えてくれ」


酷く辛そうな顔をして櫂が言った。


「あれはお前じゃない。俺も…そう思うようにするから…」


………。

ということは、櫂…


「あれの何処が俺なんだよ!!! お前まで何だよ!!! お前、俺と8年の付き合いじゃねえか!!! 俺をよく知る幼馴染だろうが!!!」

「ああ、そのはずだが?」

「櫂~~ッッッ!!!!」


駄目だ。

俺の像が…崩れてる。


名誉挽回しないといけねえ!!!


そう決意新たにしている間、

「――で、情報屋。いつまで此処に居るつもりだ」


櫂が憮然とした表情で、腕を組みながらアホハットに聞いていた。


アホハットは腕時計を見て、薄く笑い、


「ん~、もうそろそろなんやけどな~」


そしてちらりと俺達を見た。


時計はあと5分程で、午前10時になろうとしている。


アホハットが待っているのは"10時"か?

それとも"誰か"か?



「やば」



そう不吉な二文字を口にしたのはアホハット。


「何で今、来るねん!!!」


そう言った後――


「机の下、潜るんや!!!」


頭上を掠ったのは――銃弾。


「煌、後ろ!!!」


櫂の声と共に、気配を感じた俺は、太陽石を大きい偃月刀に顕現しながら、仰け反り気味に体を倒して、頭上で偃月刀を旋回させる。


偃月刀の早い動きが引きおこす…風の威力。

風が壁になれば、調度と共に…こちらに向かう銃弾も弾き返される。


「お前…いつもの偃月刀を巨大化させたのを操れるだけではなく、とうとう風まで使えるようになったのか」


やたら嬉しそうな櫂の声が響くけど…


「お前隠れてろ!! 俺何の為に護衛やってるよ!!!」


「ははは。たまにはいいじゃないか。俺も前線で共に動かせよ」


そういうと、櫂は両手を緑色の光で覆った。


< 91 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop