シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

構築 煌Side

　煌Side
*********************



玲の部屋をパワーアップさせたような、一面機械だらけの部屋。

こけしに案内されたその部屋は、絶対俺との相性が悪いだろう…大型精密機械が、ずらりと並ぶ。


ひと昔前の、時代遅れの忍者の格好した奴らが住まう建物が、なんでここまで近未来?

そのあまりのミスマッチに、俺はあんぐりだ。


大体扉を開けるための、あの…宙に指でなぞれば出て来る装置だって、普通ではあり得ない。

あり得ないからこそ、俺は大興奮するわけで…。


玲が本気を出して取り組んだら、そういった装置は作成可能だろうと思う。

かつての"約束の地(ｶﾅﾝ)"においても、あそこの住人は、約束の地(ｶﾅﾝ)の地限定で魔法だとかいうものを、指をちょいちょい動かして発動していたけれど…、

あれを作ったのがレグ…もとい白皇だとしたら、玲に出来ねえことはないだろう。

だてに長年、"電脳オタク"してねえし。


実際レグの機械を解析して、あいつがこっそり作ってみようとしてたのは、俺は知っている。

そこにアニオタ遠坂が、自分も超能力…魔法というものを使えるようにしようと躍起になって協力していたはずだったけれど。


――師匠。機械に頼らなくても、息を止めて目を大きく見開けば、"カッ"っと光って、覚醒しないかな…。

――ん……由香ちゃん、漫画の読み過ぎだね…。


そんな会話がなされていた記憶がある。

ということは、まだうまくいっていないんだろう。


――そうか…。やっぱそれで出て来るのは、変なモノだけだよな。一応ボクも女の子だし、さすがにそれはキツいよね…。


そういえば、何が出て来ると想像したんだ、あいつ。

今度聞いてみようか。


ここの装置は、誰が作ったのだろう?

裏世界は特殊だ。

芹霞と胡桃しか頭にねえあんな阿呆タレが、2リットルのポカリ飲めて、何百キロのブロックを持ち上げたり、現実の玲の声と一部記憶を持って、ふんぞり返っていられる世界だ。

もうなんでもありの設定なのかもしれねえが、この機械もそういうものだと、同じ括りで片付けるには、妙にひっかかるんだ。

ここの機械に関しては、人為的に思えばこそ。


なぜなら、機械に添えられた沢山の小さな画面が、この世界のどこかの部分を色んな角度で映し出しているんだ。