シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
その中には、宴会で盛り上がっている小猿やチビリス、金ピカゴボウもいる。
無声音だけれど、異様な盛り上がり。
そう…、テーブルの上にいるあいつらを、忍者が手を叩いて取り囲んで――。
「……はぁっ」
嘆かわしい。
…あいつら、なにどじょうすくいを踊ってるんだよ。
お前達飲んでたの、オレンジジュースだったじゃねえかよ!?
あの小さな手ぬぐいと小さなザル、誰が用意したんだよ。
酔っ払って床を手で叩きながら、ゲラゲラ笑い転げている牛女か?
いいのか、あいつ…乱れた着物姿で床に胡座かいて。
まあ…誰も気にしちゃいねえみたいだけどよ。
見たくもねえけどよ。
「………」
サルとリスとゴボウ、練習していたかのようにぴったり同じ動き。
さらにあの真剣かつ…どや顔。
動物と、基本は猿の式神の生態は謎だらけだ。
身内の恥を見ているようで顔から火が出てきそうだけど、こんなものも、外部から誰からも見られる状態なのであるとすれば、非常に居心地悪い。
俺達も、見られていたということだろう?
これなら――
ここの住人ですら、監視下にあるみたいじゃねえか。
一体、誰が見たいなど思うんだ?
なんて思いながら、こけしと櫂の後をついて歩いていた時、こけしが口を開いたんだ。
「この機械を構築したのは、久涅でも異人でもない」
そして指さしたのは――
「――あの男だ」
正面にあるどでかい画面に、大きな背もたれ椅子にて背を向けて座る奴。
俺は櫂の横に立ち、ごくんと生唾を飲んだ。
誰だ?
覚えある、この気は……。
男がこちらを向く。
「がははははははは!!!」
ああ、この笑い声は。
「「クマ!!!?」」
俺と櫂は同時に声を上げた。
例え、真実の姿を今の今まで、見忘れていても、
こんな豪快な笑いをするのは奴しかいない。
「はあああああ!!?」
これは、毛を剃ってすっきり美男子バージョンの…三沢玲央だ。
「お前、勝手にとんずらして…
ここで何してるよ!!?」
――多分。