シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
――――――――――――――――――――――――――――……
胸に圧迫感があり…息苦しい。
頭が朦朧とする。
『櫂はん、櫂はん…』
何かの声はするが…認識できない。
「大根……」
俺は呟いた。
艶かしい女体の輪郭を持つ――
小さな大根。
『だ、大根でっか? 大根…はて、ここに大根は…』
――ぴぎゃあああああ!!!
あれは――
引き抜いた犬の悲鳴?
引き抜かれた大根の悲鳴?
「大根…」
墓場に埋まっていた、小さな大根。
今にも歩き出しそうな足を持つ、艶かしい大根。
『待て、櫂はん。待たんか、櫂はん…!!! "大根…"だけで眠り込めば、今後の櫂はんの異名は、"夢見るほど大根好きな気高き獅子"になりま。ええのか、ええのんか!!?』
誰かが何か言っている。
俺を揺さぶっている。
あの大根の葉のように…
俺もされるがまま、ゆさゆさと揺れているんだろうか。
「大根…」
『情報では大根愛でるのは玲はんのはずやけど…血が大根を求めるんやろか』
あの大根は…犬によって掘り起こされたのか?
だから犬と大根は鎖で繋いでいたのか?
何で…そんな手間を?
何で手で摘みとらない?
何故、犬が出るんだ?
「ワンワン…」
思考回路が上手く働かない。