シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ワンワン…」
『櫂はんが"ワンワン"!!? この姿態で"ワンワン"!!! 櫂はんの言葉がワンワン語になったのか、ワンワンはんを呼んでるのか。
微妙やけれど…一応…ワンワンはん、ほれワンワンはん!! 櫂はんの上でぐったりせんで起きてや!!! 起きて……ウチに盛ってどないするんや!!! ワンワンはんの主はん、ワンワン言いはるんや!!! ようやく主従揃ってワンワン…』
どうして…
あんなに沢山の犬が死んでいたのか。
しかも…顔から血を出して。
顔というより…耳か?
墓場…。
犬の墓場…?
「ワンワン…」
墓場に大勢の犬の死体。
首輪の鎖に括りつけられた大根。
ひっかかる。
情景を…よく思い出せ。
多くの犬の鎖の先には、同じ大根があり。
死んだ犬の先には――
骨付きの肉があった。
知った顔で出現したイチル。
手にした大根。
芹霞が見たがった、願いを叶える魔法…。
俺と芹霞は…
そこから何処に連れて行かれた?
そこで――
何が起きた?
何処に…連れて行かれたはずだ。
俺と芹霞は、其処で――。