いじめのその先
そんな日々が大分過ぎた数ヶ月後の初夏。 少しずつ嫌な歯車が動き出していた。
それは少し前の日、ゆきの靴箱に一通の手紙が 入っていたことから始まった。
『好きです。もし良かったら今日の放課後、体 育館裏まで来て下さい。1-A斎藤』
「こ、これって…ラブレター!?」
「どうするのゆきりん!?」
「どうって…断るかな?好きでもないのに付き 合うのは、かえって失礼だもん。」
その言葉通りゆきは丁寧に断った。
しかしそれから、ゆきに嫌がらせが来る様にな った。
「これ…」
初めは靴捨てとかから始まった。 そのうちエスカレートしていき、水や飲み物を 頭からかけられたり、教科書を破られたりして いった。
犯人は分かっていた。 クラスで斎藤のことを好きなグループが居たか らだ。
しかし皆それぞれがそれを止めるのではなく、 逆に便乗している。 初め止めていた数人もやがては加害者になって いく。 周りの大人(先生)達も見知らふりをしている。
いつしかゆきの周りは敵だらけになっていた。