いじめのその先

私がいつも教室に入るといつもの光景が目に入 った。

一卓の落書きとゴミだからけの机が廊下に出て 、「市川ゆき」と綺麗な字で書いてある教科書 やノートが切られたり、カッターでずたずたに されている。

当の本人は黙って机を戻し、落書きを消してい る。

私は一緒にはやっていない。しかし止めること もしないのは同罪だ。 それは自分でも分かっている。しかし上手く身 体が動かなかった。声も出なかった。

悔しい気持ちを残したまま、私は学校を出て家 に向かった。 すぐに自分の部屋にこもると自然と涙が溢れ出 てきた。

何も出来ない自分が悔しくて―

どうしたら良いか分からなくて―

その夜…夢を見た。

小学生の頃の夢。 そこには楽しく遊ぶ私達が居た。私の横にはゆ きも居て、一緒に笑って遊んでた。

とても幸せな顔…それは今とは正反対だ。

「ゆき!?」

朝、夢から覚めた私はある決意をしていた。

イジメを止めることは出来ない…けど一緒に居 ることなら出来る。 戦おう、ゆきと一緒に…もう一度幸せを掴みた いから!!

そして学校に行って実行したんだ。 放課後…いつも通り一人で帰るゆきに話しかけ た。

「一緒に帰ろう?」と―
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