いじめのその先
なくなってると思っていたイジメは更にエスカレートしていた。
「何やってんの!?」
怒りまじりの声を上げた私に、一斉に振り向いた一行の中に居たゆき。
青ざめた顔で立っていた。
「千南ちゃん…?何で…」
今にも泣きそうな声のゆきを無視して再び声を上げた。
「あんたたち…ゆきに何をしたの!?」
「何って…」
その内の一人が何か言おうと思った瞬間、ゆきが急にどこかに向かって走り出してしまった。
「え、ゆき?」
突然のことに戸惑ってしまったが、とりあえず一歩遅れて追いかけた。
「ゆき…ゆきっ!!待ってよ!」
やっと追いついた場所を息を整いながら確認する。
「屋上…?」
そこは学校の3階に位置する屋上だった。
「ゆ…」
「千南ちゃん」
今後は私の言葉を遮るようにゆきが声を出した。
「ごめん。ごめんね。せっかく救ってくれたのに…でもやっぱり駄目なんだよ。」
声では笑ってた…
でもゆきは泣いていた。
「私…弱虫なの。一人じゃ何も出来なくて…。」
「わ、私が居るよ!」
「ありがとう。でももう良いの。」
「ゆ…」
「今までありがとう…。大好きだよ。」
「―っゆき~!!」
そしてゆきは旅立った。
私に「大好き」の言葉を残して…。