いじめのその先
最低で最高の一日
「千南~!!折りたたみ傘持ってけ~」
玄関を出ようと靴を履いていた私は、ちぃ兄に言われて慌てて振り返った。
「うんっ」
ちぃ兄から傘を受け取ると、走って学校に向かった。
「行って来ます!」
今日は移動教室の日。
二年生の集合場所は学校になって居て、そこからバスにて伊豆に行く。
携帯を見ながら時間を確認する。
普段は持ち歩き禁止だが、移動教室の日は特別許可が下りてる。私はもともと持っていなかったが、他の子が持っているのと何かあると危険だということで親が買ってくれた。
そんな初めての携帯を嬉しい気持ちで見ながら、急ぎ足で学校へと向かった。
「あ、千南ちゃんおはよう♪」
「おせぇよ。」
幸恵ちゃんの明るい声と佐々木君の文句が同時にとんでくる。
「おはよう…ごめん。」
ちょっと憂鬱になりながらぎこちない笑顔を浮かべる。
バスの座席は班ごとになっている。
周りに居るメンバーを見た。
「あ…」
そこには初めて見る顔があった。
佐々木君、立川君と話してる綺麗な顔立ちだけど赤髪でちょっと怒ってる目つきの男の子。
「…何?」
がん見していたらしく、その男の子は不機嫌そうに問い掛けた。
「あ、いや……席順…どうする?」
とっさに出て来た言葉は席順のことだった。
「席順…?」
いかにも興味がなさそうないらついた表情で繰り返す。
「そういえばそうだな!今グッパーで決めちゃおうぜ♪」
立川君の提案で私達の班はグッパーをした。