いじめのその先
「遅いっ!!」
幸恵ちゃんの怒号が駅に響いた。
私達が着いてから、男子が来たのは20分もあとだった。
「んな怒んなよ幸恵。」
「そうだぜ。それに怒るとますます不細工になるぞ~?」
全然詫びる様子もない佐々木君と立川君に、幸恵ちゃんの怒りはさらに倍増してる様子になった。
「幸恵ちゃん、みんなだって悪気があったわけじゃないんだし…。」
私は必死になだめるが、なかなかおさまらない。そんな怒りも次の月島君の一言でおさまるのだった。
「アイス」
「え?」
みんな一瞬ポカンとし、月島君の方を向いた。
「アイス奢ってやるからとっとと行くぞ。」
そう言い、一人でさっさと行ってしまった。
「ちょ…ちょっと月島君!」
私は必死に追いかけ、小声で話しかけた。
「そんなんで幸恵ちゃんの機嫌が直ると思わないんだけど…。」
不安そうにそう聞くと、無言で後ろを指した。
私が振り向くと上機嫌な幸恵ちゃんの姿があった。
「あいつアイスには目がないから、機嫌損ねたらとりあえずアイスだ。」
幸恵ちゃんの意外な弱点と、月島君の周りを良く見ていることの意外さに感心した班行動が始まった。