いじめのその先
顔を赤くしながら、ビックリして振り返ると男性が立っていた。
「あ、お兄ちゃん…。」
お兄ちゃん?そういえば聞いたことあったな…咲枝に兄が居る話。
初対面だったから、笑顔で咲枝兄に挨拶をした。
「初めまして。咲枝の同じクラスの月島空也です。」
「おぉ。咲枝の兄の咲斗だ。じゃあそっちの浜辺に居たのも…月島君の友達か?」
「はい。」
「ならちょっとだけ妹に話あるから、戻ってもらってて良いかな?」
僕は咲斗さんの優しい笑みに、微笑み返した。
咲斗さんなら咲枝の悩み知ってるかな~。後で聞いてみよう。
そう思い、咲枝に向かって声を出した。
「咲枝、また後で。」
ふと見ると悲しそうな咲枝の表情が目に映った。
しかしすぐに笑顔に戻り、笑いながら言った。
「うん、また後で♪」
浜辺に戻ろうと浜辺を歩き始めたが、先程の咲枝の表情が気になり再び崖へと戻った。
咲枝の姿がかすかに見えて、声をかけようと思った時―何かを叩く音が響いた。それと同時に小さな悲鳴が聞こえた。
「咲…枝?」