いじめのその先
そしてそのまま沈黙が流れた中聞こえたのは、深いため息だった。
「…月島君、もう一度だけ言うよ。ここから立ち去れ。」
睨み付けられる様に放たれた言葉に反応したのは咲枝だった。
「止めてお兄ちゃん!空也君は何も関係ないでしょ!」
「…そうだな。全てお前が悪い―」
そう言い終わるか終わらないぐらいで咲斗さんが咲枝を殴った。咲枝は崖手前辺りに飛ばされた。
一瞬遅れて動いたが、それは咲枝が海に落とされる直前だった。
「咲枝っ!!」
そう叫んだのと同時に僕の身体は空に放り出された。
「空也君っ!!」
咲枝の叫び声が遠くで聞こえた気がして、そのまま気を失ってしまった。
目を覚ました時に見えたのは咲枝の泣き顔だ。
目を赤く腫らして泣いていた。
そしてまた気を失ってしまった。