いじめのその先
たった一つの願い
「みんなにお願いがあるんだ。」
その中、沈黙を破ったのは空也君だった。皆一斉に彼の方を向いた。
そして軽く息を吸い話し始めた。
「咲枝を助けてくれないか?今までのことがあるから…きっと戸惑うと思う。でもお願い…助けてくれよ。」
「空也…」
誰かが呟いたその時ー月島君が急に立ち上がった。
「星…也?」
「悪い。ちょっと時間くれ。」
そう言い残し、教室を出て行ってしまった。
そしてまた静まり返った教室に戻った。
私はさりげなく教室を抜けだし、彼と同じ様に教室を後にした。
いつもの場所ー屋上に来て、手摺りから町並みを見下ろして居た。
「ゆき…どうしたら良いかな。」
「お前いつもそれ言ってんのな。」
「うわぁ!!…ビックリした…。」
「うわぁ!!って…。もっと可愛い叫び方ねぇのかよ。」
「悪かったわね。…どうしてここに?」
「そりゃあこっちの台詞だ。…一人で考えたかったのに」
「わ、私だって同じだし!何でこんなところ来るのさ。」
「こんなところ?俺の憩いの場所を馬鹿にすんな。」
「憩いって…ただサボってるだけじゃ。」
月島君に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で呟いた。