いじめのその先
またの沈黙の中、今度は私が声を出した。
それは私が誰にも話したことがなかった前の学校の話。例のゆきの話だ。
何故月島君に話したいか分からない。
でも彼は何の文句も言わないで最後まで私の話を聞いてくれた。
話終えた私に彼はぽつりと言った。
「…だからなのか?」
「え…?」
「だからあんなに必死に咲枝を守ろうとしてたのか?その…ゆきとかいう奴の二の舞になりたくなかったから。」
「…大方はそう。それに私自身がああゆう光景を見たくなかったから。」
「そっか。…行くか。」
月島君は息を吐いたと思ったら、屋上の出入り口の所に歩いて行こうとした。
「どこに?」
「咲枝のとこに。」
振り向いた彼の顔は全てを意に決めた様な表情だった。
私は黙って頷き、彼の後に続いた。
教室に戻るとみんな私達を待っているような体制だった。
「どうやら星也も心を決めた様だね。」
優しくも芯の強い口調で空也君が言った。その言葉に月島君は頷きみんなの方を振り向いた。
「じゃあ、行くか。」
そうして私達は咲枝ちゃんの元へ向かった。
これで全て解決する。
そう思う私の考えは甘かった。