いじめのその先
「違うんです。」
私は真っ直ぐに咲斗さんを見つめて口に出した。
私達が今日ここに来た理由をきちんと話すために。
「違うって…?」
「私達、貴方に会いに来たんです。咲斗さんに聞きたいことがあって…。」
目を丸くした咲斗さんに私はそのまま言葉を続けた。
「本当のことを話してくれませんか?」
「何の?」
「あの日の…海での出来事です。」
「本当も何も咲枝から聞いてるでしょ?あれが全てだよ。」
「嘘ですね。」
咲斗さんの後に否定をしたのは空也君だった。
「…あの日俺を落としたのは、咲斗さん…貴方です。」
「…」
「覚えてないと思ってました?」
「…そうだな。なら、仮に君を落としたのが俺だとしよう。でも証拠は?」
「?」
「論より証拠って言うでしょ?そこまで言うなら何かあるんだろ?」
あまりに馬鹿げた発言に私はムカつきを覚え、咲斗さんの前に出た。
「ちょっと、空也君が嘘付いてるって言うんですか!?」
「馬鹿止めろー」
月島君が止めた理由が分かったのは彼が止めた後だった。