いじめのその先
「ねぇ、咲枝は何て書いたの?」

黒板を見つめながら聞いた彼の表情は分からない。

「えっと、これ。」

彼女が指を指したのは『また皆で遊びたい。楽しかったありがとう。』の文字。

「咲枝らしいね。」

クスリと笑いチョークを手にした。

「僕はこれを書いたんだ。」

自分が書いた文字の下に横線を入れた。

『大好き』

「・・・」

彼の書いた文字を見つめている彼女に向かって更に言葉を続けた。

「今でも誰よりも大好き」

真っ直ぐに彼女に向かい、そう言葉を繋いだ。
微笑みながら。

黙ったままの彼女はゆっくり黒板に歩み寄りながら
彼が書いた言葉の下にチョークを走らせた。

『私も大好き』

頬を赤らめながら、今にも泣きだしそうなまま俯いた。
その震えてる小さな肩を抱きしめ呟くように彼は言った。

「嬉しい。ありがとう。」
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