いじめのその先
「ただいま~。」
「あらおかえり。初日の学校どうだった?」
夕方…私が帰宅すると夕飯の支度をしていたお 母さんが、手を休めることなく聞いてきた。
「さすが都会って感じだよ!!」
「へぇ~やっぱり設備って良いの?」
「設備?ん~チョークのカラーが多かったかな!! 」
「チョークって…もっと他のところ見て来なさ いよ。音楽系とか体育用具とか。」
「今日は音楽も体育もないもん♪」
「ただいま―。」
そんなことを言い合ってると玄関から声が聞こ えて来た。 千南より二歳上の兄、『千晴(ちはる )』お兄ちゃ んだ。
「あ、ちぃ兄だ!!ちぃ兄おかえり~♪」
「お~千南。」
「ね、ね、高校どうだった?楽しかった!?」
「まぁね♪クラスの奴らもなかなか良い奴らば かりだし。」
そんな他愛のない話をしながら、一日が過ぎて 行った。 同じクラスの飯田さんの態度に疑問を 感じなが らも、眠りについた。 明日―あんな事 件が起こるとは露知れず。