いじめのその先

転校二日目。
桜が散りゆく5月半ば。
散ったピンク色の花びらを見ながら、考えていた。

『どうやったら、飯田さんと話せるかな?』

昨日クラスのほとんどの人とは会話を交わした。
転校初日ということもあるのか、周りに人が寄って来た。

しかし、飯田さんだけは違った。
休み時間になると本を読み始めるか、席を立ってしまうのだ。自分と話したくないのとも考えてしまう。

昨日屋上で会った時も、こっちから一方的に話してるだけだった。
そんなことを考えていたら学校に着いてしまった。

『まぁ…そのうち話せるようになるか。』

自分にそう言い聞かせ、教室のドアを開けようとした瞬間、違和感を感じた。

―教室の中が静か過ぎる―

昨日はあんなに騒いで声が聞こえず、一人一人が順番に喋ってる様だった。小さな声のため内容までは聞こえない。
しかしそれは前にも味わったことがある、半年前と同じ感じだった。

「この感じ…嫌な予感がする―」

ドアに手を伸ばした時―

「おはよう♪」

「!?」

驚いた顔のまま振り返ると担任の先生が手を振っていた。

「あ、おはよう…ございます。」

一気に気の抜けた私は、途切れ途切れ挨拶した。

「どうしたの?相原さん。そんなところに突っ立って。」

「あ、いえ…何でも。」

気が付くとあの違和感をどこかいった。
不審な想いのまま一日が始まった。

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