極悪兎甘い牙を向く
教室に入るなり
みんなが私に注目した。
まぁ、この瞳のせいだってことはわかってるから慣れてるけど。
「あの!!さっき、たくさんの不良にたった一人で圧勝してたよねー?」
「すげーなぁ!!しかも、あの虎牙さんの妹だって本当なのか!?」
「蒼斗君と双子って本当ー?」
クラスのみんなが
ワッと押し寄せて質問攻めに合う。
「ちょっと!ちょっと!
そんなに一気に質問したら葵が困るでしょー!?」
野々歌の一声でみんなの質問攻めが止んだ。
「そーだぞー?俺の妹いじめてくれんなー?」
私の後ろから声がして
ポンと私の頭に名簿が当たった。
「美羽ちゃーん!!」
「こらー!先生をつけなさい!」
野々歌の額にデコピンをするにぃ。
先生になったとは聞いてたけど
うちの学校って聞いてない!!
状況についていけずに
固まっていると
にぃがにやにやしながら私を見た。
「毎日俺に会えて嬉しいだろー?」
「蒼斗のとこにいけばいい!」
フンとそっぽを向いて席につく。
すると
あからさまに落ち込んだ様子で
教卓にもたれかかるにぃ。
「はーい、じゃぁ出席とりまぁ~す」
「先生!妹離れ時ですよー!!」
「どんまーい!」
笑い声と共にクラスのみんなに声をかけられるにぃ。
「うるせぇー!!他人事だと思ってお前ら~!!」
もうみんなの人気者みたいになってる。
さすが、昔から人に好かれてたもんなー。
「んじゃー、入学式始まるから入場するぞー!並べ~!」
廊下にズラズラと他のクラスの人たちも並び始めていた。
蒼斗が手を降っているのが見えて振り返えした。
「よし!歩け~。」
にぃの掛け声で列が進み体育館へと向かって歩いた。
途中中庭にさしかかり
ふと中庭の桜の樹を見ると
作業着を着た男の人が枝の修繕をしていた。