サマーバレンタイン【短編】
「えっと、あの。コ、コンビニ行こうかな…って…」

「へぇ。中川んちってこの辺なんだ。うちは公園のすぐ裏。近いね。

でもさ、この辺にコンビ二なんてあったっけ?」


田中くんの邪気のない問いかけに、私は困ってしまった。

というのも、この一帯は住宅街で、駅前に抜けるまでコンビニはない。

私がここに来る途中に通って来た道を戻らなければ駅には行けないからだ。


田中くんは私が何か言うのを待っている。

私は焦って

「公園の近くになかったっけ。私の…勘違い…かな?」

と、しどろもどろに答えた。


田中くんは「フーン…」と全然納得してない様子だったけど、それ以上のことは何も聞いてこなかった。
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