サマーバレンタイン【短編】
3.届かない想い
もと来た反対側の道を通り抜け、堤防沿いの遊歩道に出たところで立ち止まった。
痛くなった脇腹を押さえて呼吸を整えた。
汗が頬を伝って落ちていく。
私は一体何をしているんだろう――…。
突然、後ろから強い力で腕を掴まれ、驚いて振り返ると田中くんが立っていて、
「俺、何か中川を怒らせるようなことしたみたいだから、謝らなきゃと思って……」
と、肩を上下させながら言った。
田中くんはギターケースを背負い、私の腕を掴んでいる反対側の手には、私が投げつけた紙袋を持っていた。
紙袋はすっかりくたびれて、ところどころ土で汚れていた。
痛くなった脇腹を押さえて呼吸を整えた。
汗が頬を伝って落ちていく。
私は一体何をしているんだろう――…。
突然、後ろから強い力で腕を掴まれ、驚いて振り返ると田中くんが立っていて、
「俺、何か中川を怒らせるようなことしたみたいだから、謝らなきゃと思って……」
と、肩を上下させながら言った。
田中くんはギターケースを背負い、私の腕を掴んでいる反対側の手には、私が投げつけた紙袋を持っていた。
紙袋はすっかりくたびれて、ところどころ土で汚れていた。