サマーバレンタイン【短編】
1.満月
今日は高校に入って初めての終業式。

これから始まる長い休みへの開放感と期待感からか、

教室全体がざわざわとうるさく、皆浮き足立っていた。


例に漏れず、私も仲のいい子たちと集まって、花火や夏祭りに行く計画を立てて盛り上がっていた。

そんな中、私が中学時代からずっと片想いしている山本くんたちのグループは、

他のどのグループよりも大きな声で騒いでいる。


さりげなさを装って、ちらりと目をやると、いつも一緒にいる田代くんや三島くんに冷やかされて、

耳まで真っ赤にして怒る山本くんが輪の中心にいた。


同じ教室の中にいるのに、私と彼がいるところは、はるか遠く離れた場所のように感じる。
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