サマーバレンタイン【短編】
田中くんの協力もあって、私は今年の冬に作ったバレンタインチョコレートを完食することができた。


だけどこれ以上、田中くんのやさしさに甘えるわけにはいかない。


「ずっと冷凍庫に入れてあったけど、残りの2つは1年以上前に作ったものだから、食べたらお腹壊しちゃうかもしれない。

だからあとは私1人で食べるよ」


私は去年の冬に作ったチョコレートの包装を剥がしながら、きっぱりと田中くんに言った。


「チョコレートって腐ったりすんの?」

「さぁ?知らない」


田中くんはほんの一瞬、不安そうな表情をしたあとで、

「ま、大丈夫だろ」

と、私の言ったことを完全に無視してチョコレートに手を伸ばした。
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