サマーバレンタイン【短編】
「……えっと、あの。自分から聞いておいて何て言えばいいのか分からないけど……ありがとう」

精一杯の気持ちを込めて、お礼を言った。

だけど田中くんは口をへの字に曲げた。


「どうしたの?田中くん、変な顔してる」

「それだけ?」


「え?何が?」

「俺の告白によろめいちゃったとかさー、そういうリアクションはないの?」


「そっ、そんなこと急に言われても……」

「……ま、焦ってもしょうがない。今日のところはそれで良しとするかー」


そう言って田中くんはニッと笑った。

さっきの言葉にこの笑顔。

ほんとはちょっとよろめいてるのかもしれない。
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