あのコのひみつ^_^
「ん〜まぁそういうわけで、まだ中に入れない状況なので・・・」
「中に入れないんじゃなくて入らないんだろが!!」
確かにそうだ。
開店待ちをしているというより、『入りにくいだけど気になる店』の前で友達と『どうする?入ってみるー?』『え、でも怪しい店だったらャバクない?』と悩んでいる雰囲気だ。
ってそんなんじゃ駄目だろ!
えっ!?警察だよね?
何悩んでんの?
怪我人とか出てるんだろ?
ごつい恰好の特殊部隊的なの行こうよ?
っつかなんで俺はこんなところ連れて来られてんだ?
関係なくね?
「そうよ。これが現実なの。」
邦是の姉はさっきとはうってかわった落ち着いた声で俺の肩をぽんと叩く。
「いっつもこんな感じなのよ。犯罪王子関連の強盗・襲撃事件は、発祥時はもちろん、時間が経ってもなかなか警察は動かない。」
そうか。日本の警察はそんなとこまで落ちぶれてしまったのか。
犯罪王子が怖いからか?
だから誰も手が出ないのか?
いや、そんなの理由にならないだろう。
お前達は自ら危険を犯してでも善良なる市民の為に・・・
「って違うだろー!!!
どこのハードボイルド!?」
「は?」
「『は?』じゃねーよ!
さっきからお前の行動が一つ足りとも理解出来ねーよ!
急にハニカミ王子の現場にパトカー飛ばして行くし!」
「いや、犯罪王子だから。」
「ほんで俺ほったらかしでなんか正義貫いとるし!」
「中に入れるならあなたも連れて行くつもりだったけど?」
「え?そうなのか?
いや、その方が意味わかんねーよ!
それでもって最後の『これが現実よ』って何?」
「だからぁ、あなたに日本の警察の実態を知ってもらおうと思って。」
「だからぁじゃねーよ!なんだよ俺別に警察になりたいなんて一言も言ってねーよ!
何、俺を新米刑事みたいな扱いしてんだよ!?」
「・・・。」
何この人!
腕組んでよそ見んなよ腹立つなぁ!
「も〜・・・。マジ帰りますよ俺。
こっちだって暇じゃないし。
あっ、光の事はぁ、また随時お知らせするんで〜」