【短】忘れてしまいましたか


だから死んだのでしょう。


自ら命を絶ったわけではありません。

だってそんなことしたら彼が罪悪感を感じるでしょ。

どんなひどい男でもやっぱり好きなんです。

でも生きる気力がなかったんです。

だから村が火事になっても逃げませんでした。

死にました。



彼が火事になったあと村に来ました。

身分の高い彼がわざわざ来たのは自分の村で火事の現状などを調査しに来たのでしょう。



その時彼は私が死んだのを知りました。
そして逃げれたのに逃げなかったことを聞いたのでしょう。
彼は涙を流しました。

罪悪感で泣かないで。

そんなに泣かないでで。

それなら私を迎えに来てくれたら良かったのに。

どうしてよ。どうしてなのよ。

私をほっといて!!


静かに眠らせて。

どうせ私の声なんて聞こえてないんでしょ。
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