カプチーノ·カシス


あたしが言い切ると、石原は哀しい目をしてあたしを見つめる。

そのまま石原とにらみ合うように向き合っていると、開発室の扉が開いてハルが入ってきた。


「……廊下まで筒抜けだぞ。その辺でやめとけ、もうすぐ課長も来る」


石原はまだ何か言いたそうだったけれど、あたしがぷい、と目を逸らすと諦めて自分の席に戻った。

ほどなく課長も戻ってきて、皆何事もなかったかのように仕事を再開したけれど、息苦しい雰囲気だけはずっと部屋に立ちこめていた。


ここにいる四人の歪な関係。

それが徐々に姿を現してきているような、そんな気がした。


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