カプチーノ·カシス


会議、当日。

なかなか開発室に戻ってこない課長を心配して、あたしはそわそわしていた。

いつもこの手の会議は早くて三十分、遅くても一時間で終わる。

だけど課長が会議に行ってからもう一時間半も経過している。


……プレゼン、上手く行ってないのかな。

そう思いながら、ちらりと石原の方を見やる。

昨日の一件があってから石原とは目も合わさず、会話も必要最小限しかしてない。

だけど石原もあたしと気持ちは同じようで、L値を計りながら壁の時計を何度も確認していた。


そんな中、ハルだけが落ち着いた様子でコーヒーを抽出している。

あのコーヒー、なんだろう?

今工場で生産している製品のスタートサンプルなら、さっき飲んで現場に連絡したのに。


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