カプチーノ·カシス
「愛海ちゃんは僕のことなんて、全然眼中にないんです。だから、僕は片想いでいいから彼女の幸せを願おうって決めていて……それなのに、愛海ちゃんは課長の愛人になんてなろうとしてる。だから、どうしても口を出さずにいられなくて」
余計なお世話なんですよね、きっと……最後にそう言われて“そうだな”とは言えなかった。
見返りを求めない、そんな恋の仕方はとっくに忘れた俺でも、石原の純粋な想いを否定することはできない。
俺でも課長でもなく、コイツを選べばナミは間違いなく幸せになれるだろうと思った。
ただし、俺にはあの女を譲る気なんて、さらさらない。