カプチーノ·カシス
「そうだったら嬉しいですね」
「そうですよ、きっと」
俺以外の二人の間には同じ思いを共有する仲間意識のような空気が生まれていて、俺は疎外感を覚えた。
だけど自分も仲間に入りたいとは思わない。
こっちが“普通”なんだと、自分に言い聞かせる。
そうこうしているうちに飲み物が目の前に置かれた。
俺と尾崎さんの前には褐色の液体にホイップクリームがたっぷりと乗ったグラス。
武内さんの前には、コーヒーの入ったカップが置かれた。
そのカップには、橋渡しするように角砂糖の乗った金のスプーンが置いてある。
「―――失礼します」
おもむろにカウンターから手を伸ばしてきた若いバーテンダーが、スプーンの上の角砂糖に火をつけた。
角砂糖は青い炎を纏い、ゆっくりと溶けていく。
「綺麗……」
その幻想的な光景を見て、武内さんがうっとりと呟く。
……確かに、綺麗だ。