カプチーノ·カシス


「――武内さん、降りるよ?」


ホテルに着く頃には何とか平常心を取り戻した俺は、運転手に支払いを済ませると武内さんの体を引っ張る。


「んー……」


いちおう目は覚ましたらしいが未だに千鳥足の彼女は、無意識だろうが俺に寄りかかって胸の膨らみを押しつけてくる。

……今まで、こんなにも自分の中の理性を必死に寄せ集めようとしたことはない。


反応してしまいそうになる身体を死ぬ気でセーブしてホテルに入り、鍵を受け取ってエレベーターに乗る。

俺と武内さんの部屋は階が違っていたが、まずは彼女の部屋を目指してボタンを押した。



< 136 / 349 >

この作品をシェア

pagetop