カプチーノ·カシス
部屋の前に着いて鍵を開け、電気をつけると目に飛び込んできたのはビジネス用の素っ気ない作りの部屋。
それを見て、何とか気持ちを落ち着かせようとする。
……今日は仕事でここへ来た。
この部屋に入ったのは酔いつぶれた部下を介抱するため。
ただ、それだけ。
「よっ……」
あまり衝撃を与えないように注意しながら彼女をベッドに降ろす。
布団をかけようか迷ったが、元からスイッチが入っていた暖房で部屋は暖まっていた。
これで、俺の役目は終わり……
俺は安堵のため息をつき、部屋を出ようとしたのだが。
「課長、あたし気持ち悪くて……お水、もらえませんか?」
ベッドに横たわる武内さんが、そう言ってこちらに寝返りを打った。