カプチーノ·カシス
彼女は、キスが上手かった。
上唇を噛まれ、舌先を吸われ、歯をなぞるように彼女の舌が這う。
年下の女性にリードされるなんて恥ずかしいとか、そんなことを思う暇もないほどに彼女のキスに蝕まれ、俺はベッドに膝立ちになっていた彼女の身体を押し倒した。
狭いシングルベッドがぎし、と音を立てて軋む。
「……酔ってたのは、演技?」
「勿論。あたしお酒強いんです」
「まんまと騙されたな……」
「課長に抱いてもらえるなら何だってします」
その物言いが可愛くて、もう一度彼女にキスを落とす。
唇を離すと視線が絡み合って、またキスをしたくなって……
それを繰り返すうちについに我慢がきかなくなった。
「……抱きたい」
「抱いて」
「でも……俺には家族が……」
「ここは大阪です。気づかれるわけない」