カプチーノ·カシス
大した前戯がなくても、ハルとならあたしの身体はすぐに準備がととのう。
お互いのことを知らない間柄だからこそ、純粋に身体だけを繋げられる。
「ハル……好、きっ」
「ああ……俺も好きだ、お前とこうするの」
こんな“好き”に意味なんてない。
だけど行為は盛り上がるから、あたしたちは嘘だとわかっていながら、愛を囁く。
こんな関係を持っている男がいるなんて誰にも話せないけれど、ハルとの情事は一時的に課長を忘れさせてくれるし、寂しい身体は温まる。
「ほら……もうギブアップしろよ」
そして今夜もあたしは、快楽以外なにもない真っ白な世界へと…
ハルによって、堕とされてしまった。