カプチーノ·カシス


「ふっ……うぅ……っく」


もうダメだ……泣きたくないのに、泣かずには居られない。

こんな奴が東京まで隣に座ってたら課長も迷惑だよね。

課長が戻ってきたら、言おう。“先に帰って下さい”―――って。

あたしは存分に泣いてから一人で帰って、その足でハルの所へ行こう。

それでこの恋も終わり……

意気込んでた割には呆気なかったじゃん、と自分で自分を嘲笑う。


ふと顔を上げると、泣いてるんだか笑ってるんだかよくわからないあたしを、駅の利用客が不気味そうに見ながら通り過ぎていく。


「見せ物じゃないわよ…」


そう呟いたとき、ちょうど戻ってきた課長があたしの前で立ち止まった。

あたしは仕方なく、涙で濡れた顔をゆっくりと上げる。


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