カプチーノ·カシス
「柏木、晴斗……」
だから、“ハル”ってわけね……。
思わず声に出して読み上げた私に、石原が不思議そうな表情をした。
「愛海ちゃん、知り合い?」
「っ……ううん、知らない人」
まさかセフレだなんて言うわけにもいかず、あたしはシラを切る。
「今日は生産が多くて忙しいし、向こうで引き継ぎもあるみたいだから、一緒に仕事をするのは明日からだな」
課長がそう締めくくり、朝礼は終わった。
みんながサクサクと仕事の準備を始める中、あたしは履歴書を持ったままハルの写真を見つめる。
明日から、ハルとここで一緒に仕事をする……それを想像しようとしたけれど、あたしはベッドの中の彼しか知らないからうまくいかなかった。
それどころかこの間の行為を思い出してしまい、職場だというのに身体が熱くなる。