カプチーノ·カシス
逆に問題があれば生産はストップさせなければならないのだけれど、特に風味の異常の場合、現場の人間にかなり白い目で見られる。
生産は大幅に遅れるし、だいいち“風味”というかなり個人差のある感覚的な要素で異常と決めつけるのはおかしい、と思われているみたいだ。
だけど、あたしたちは何度も訓練して製品ひとつひとつの味を舌に覚えさせてきた、確かな自信とプライドがある。
現場の人に煙たがられたって、ダメなものはダメ。
きっぱりとそう言える自分であるようにと、あたしはいつも心がけている。