カプチーノ·カシス
グラニータ·ディ·カフェ
――真夜中、あたしは隣で眠るハルを起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
床に足を着けると身体がカクンとバランスを崩し、腰を押さえて苦笑する。
やりすぎだよ、全くもう……
腰の曲がったお婆さんのような歩き方で寝室を出て、バッグと服を取りにリビングへ向かった。
朝、隣にあたしが居ないと気づいたらハルは傷つくだろうか……
それを思うと、ズキンと胸が痛む。
……だけどやっぱり朝帰りは無理。
課長には一番綺麗なあたしを見てもらいたいの。
服も替えたいし、ちゃんとシャワーを浴びて、他の男の匂いを洗い流さなきゃ。
床に散らばっていた服を身に着け、喘ぎすぎてからからの喉を潤すために、キッチンで水を飲んだ。
帰ろう……
そう思ってバッグをつかんだとき、その中で暴れる携帯の振動に気が付いた。