カプチーノ·カシス
「はぁ~…疲れた」
最後の風味チェックを終えて現場に連絡すると、あたしは自分のデスクに座って伸びをした。
「お疲れさま、ごめんね武内さん。最近残業ばかりで」
斜め向かいのデスクから課長が申し訳なさそうに言った。
石原は席を外していたから、今ここにはあたしと課長の二人きりだ。
「いえっ……全然平気です! この時期忙しいのはしょうがないですから」
「そう? でも彼氏とか怒ってない?」
……わ、課長が私の交友関係を話題に!
ここはきっぱりとフリーをアピールしておくべき?
「彼氏なんて居ませんよ?」
ドキドキしながら課長を上目遣いで見つめると、驚いたような顔をしてこう言った。
「意外だな、モテそうなのに」