カプチーノ·カシス
「当然父親の男は僕を認知しなくて、母さんは僕を実家に連れて行って育てた。でも……母さんの親である祖父と祖母はいい顔をしなかった。部屋は貸してくれたけど、それ以外は一切援助してくれなかったらしい」
「どうして? 自分の孫には変わりないでしょう?」
「……僕の目が、父親の血を受け継いだ色をしているだからだよ」
哀しみを纏ったその言葉を聞いて、目の前に居る石原の印象がみるみるうちに変わっていった。
今までその灰色の瞳や、白い肌や、色素の薄い髪――その日本人離れした容姿を少し羨ましいとさえ思っていたけど……
「物心ついたときには自分でもわかってたよ。僕はこの人たちに好かれてない、邪魔者だって」
石原にとってそれは、悲しい過去を背負わされた忌まわしいものだったんだ。