カプチーノ·カシス

「石原に望みはないっつーの!」


ガンッとビールジョッキをカウンターに叩きつけると、周りのお客さんも店主のおじさんも、そして隣に座る里沙もびっくりしてあたしを見た。


「愛海、ちょっと飲み過ぎじゃ……」

「だぁって~……課長、あたしのこと全然眼中にないってことじゃない」


仕事の後、たまたま残業していた里沙と時間が合ったので飲みに誘った。

本当ならハルに愚痴って身体まで慰めて欲しいところだったけれど、明日からのことを思うと連絡する気になれなかったのだ。


「石原もなんではっきり告白してこないんだろうね」


里沙が、ぽつりと言った。


< 23 / 349 >

この作品をシェア

pagetop