カプチーノ·カシス
「……知らない。ただヘタレなんじゃないの?」
ぶすっとしてあたしは答える。
でも、言われてみれば確かにそうだ。石原は分かりやすいアプローチはしてくるけど、はっきり好きだとは言って来ない。
「案外気づいてたりしてね。愛海が課長に片思いしてるの。だから言いたくても言えないみたいな」
「まっさかぁ。石原がそんなに人の気持ちに敏感な人間とは思えないよ」
「……うーん、そうかなぁ」
……そうだよ。っていうか石原なんて、ほんとにどうでもいいし。
「そういえば例のイケメン、明日から来るんでしょ?」
「あー……うん」
「不毛な恋はやめて、そっちに乗り換えちゃえば?」
あたしはうーんと曖昧に頷く。